病院長挨拶
国立病院機構相模原病院を代表いたしまして、皆様にご挨拶申し上げます。
当院は旧陸軍・国立病院をルーツに持つ急性期総合病院です。この地域で最も歴史のある公的病院で、コロナ禍の厳しい現状においても適切な感染管理体制を保ち、標榜する30診療科すべてで標準的医療が行える体制を維持しています。
当院には3つの大きな特徴があります。
『当院の特徴』
1 地域医療支援病院としての使命
当院は相模原市の中・南部地域の中心的な地域医療支援病院として断らない救急医療を実践しています。地域支援病院とは近隣の開業医の先生や病院の先生と密接な連携をとり、地域の住民の皆さんの医療の責任を担う施設です。すなわち 急性期医療と神経難病等の難治性疾患や『がん診療(2016年に神奈川県がん診療連携指定病院に承認)』の診断治療は当院が担当し、退院後は当院から 近隣の先生方に逆紹介します。日常の診療・予防管理は患者さんの自宅あるいは職場の近くの診療所の先生に、急性期治療を終え病状が比較的安定するも尚在宅復帰が困難な患者さんは近隣の病院に、その後の治療を担っていただくということです。2011年9月に地域医療支援病院として承認されてから10年以上が経過しましたが、患者さんのご理解と600名を超える医科・歯科連携登録医の方々のご協力により、紹介率85%、逆紹介率110%、CT・MRI・核医学検査等の高額医療機器の共同利用件数が月平均370件以上とおかげさまで概ね軌道に乗ってきています。今後も病病連携と薬薬連携は更に構築・強化していきたいと考えております。
救急医療については、いち早く自院での新型コロナ PCR検査の体制を確立しました。市の二次救急担当日はのべ300日に及び、月平均500件を超える救急搬送を受けています。二次救急受け入れ率は97%に達しており、この断らない救急医療を継続するための更なる 体制作りに努めていきたいと思います。
2 低侵襲医療、自由診療
当院では低侵襲医療や自由診療を積極的に行っています。外科では食道から大腸まで、腹腔鏡下、胸腔鏡下手術など低侵襲な手術が実施されており、特に大腸手術においては全件数の90%以上が腹腔鏡下で手術されています。泌尿器科では膀胱がん、前立腺肥大に対する内視鏡手術が増加傾向で上部尿路腫瘍や前立腺がんの手術の場合は腹腔鏡下手術が選択され、婦人科でも腹腔鏡下手術が中心となっています。整形外科では2020年より脊椎の手術に内視鏡手術が導入され、脊椎管狭窄症で手術を受ける96.4%の患者さんが内視鏡手術を受けています。手、上肢の整形外科専門医が在籍しているのも特徴です。
放射線科は2014年IVR(透視下画像下治療)CT導入後、動脈性出血の動脈塞栓術や門脈体循環塞栓術等を得意としています。放射線照射治療分野も定評があります。消化器内科では早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌に対する内視鏡的治療(粘膜下層剥離術)が本格稼働しています。循環器内科におけるIVR治療件数も増加しています。
自由診療については、形成外科ではスキンケアやボトックス注射(美容)、男性型脱毛治療を、整形外科では再生医療(膝関節等への多血小板血漿フリーズドライ療法)が実施されています。
3 臨床研究センターと アレルギー疾患対策拠点病院
当院は日本に2箇所しかないアレルギー中心拠点病院の一つです。2017年4月に当院と成育医療研究センターが日本のアレルギー疾患対策拠点病院に指定されました。法律によりアレルギー診療のみならず、研究や研修などの中心的役割を担うように定められています。その沿革は1974年難病(リウマチ・アレルギー疾患)基幹施設に指定され、それに伴い1976年に臨床研究部設置、1999年に免疫異常(リウマチ・アレルギー疾患分野)における準ナショナルセンターとなり、翌2000年に国立病院として初めて臨床研究センターが設置されました。以上の経緯からわかるように、難治性のリウマチ・アレルギー疾患患者さんを多数抱え、その内科的治療や整形外科のリウマチ患者さんに対する人工関節手術、皮膚科のアトピー性皮膚炎診療、小児科における世界最多の食物アレルギーの診療実績には高い評価を受けており、当院の大きな特色の一つとなっています。研究実績をみると2020年度は150本を超える論文発表を行っています。
『方針』
以上のように当院には多様な役割があります。アレルギー・リウマチグループが牽引する臨床研究センターと、ハイレベルな低侵襲医療・『がん診療』・断らない救急医療を提供する診療部の両者が、当院の強みである多様性を尊重して共存共栄出来るよう努めていきます。
私たち国立病院機構相模原病院職員一同、地域支援病院の使命を継続して果たし、地域の皆様が安心して受診できる総合医療施設であるよう務めますとともに、我が国のリウマチ・アレルギー疾患診療・研究の中軸を担う基幹施設としての責任に応えるべく診療を行っていく所存です。
今後とも皆さまのご理解とご支援のほど宜しくお願い申し上げます。