腎臓内科
2022年度から、国立病院機構相模原病院の内科の一部門として、新たに腎臓内科が開設されました。
現在は、常勤医師1名、非常勤医師1名の小規模な体制であるため、診療内容には制限がありますが、今後、徐々に地域医療に貢献できるよう業務を拡充していきたいと考えております。
腎臓内科を受診される際には、これまでの経過や治療内容などが重要ですので、かかりつけの医師からの紹介状の持参をお願いしております。また、事前に外来予約センターで電話予約をしてから受診くださいますようお願い申し上げます。せっかく、ご来院頂きましても、休診や時間外で受診できないことがございますし、予約優先で診察をいたしますので、非常に長時間お待たせしてしまうことにもなりかねません。ご理解のほどお願い申し上げます。
対象疾患(どのような方が受診する診療科なのか?)
腎臓内科を受診する疾患として最も多いのが慢性腎臓病になります。具体的には血液検査や尿検査で指摘されることが多く、「血液検査で腎機能が悪いといわれた」、「尿検査で蛋白尿が認められた」といった方に受診していただいております。よほど進行していなければ、自覚症状はないことのほうが多いと思います。
慢性腎臓病の原因は糖尿病の合併症、高血圧や動脈硬化、鎮痛剤の長期使用、原因のはっきりしない慢性腎炎(慢性糸球体性腎炎、慢性尿細管間質性腎炎など)、多発性嚢胞腎などの遺伝病など、多岐にわたります。原因によっては改善が見込めますので、その場合には積極的な治療を行います。ただ、残念なことに多くの慢性腎臓病は改善せず徐々に進行していくので、これ以上悪化しないように管理していくことが多いのが現状です(薬物療法、食事療法、生活習慣の改善等)。
受診のきっかけとなる症状として多いのは、浮腫(むくみ)や夜間の頻尿などです。浮腫は、慢性腎臓病がある程度進行してくると(そのような病状を慢性腎不全ということもあります)、認められることがあります。またネフローゼという腎臓病の際には、しばしば顕著な(そして時に急発症の)浮腫が認められます。ただし、浮腫自体はむしろ腎臓病以外が原因のことのほうが多く、心不全などの循環器疾患、血流障害、下肢の筋力低下、塩分の摂取過多、さらにはホルモンの病気でも生じることがあります。当科では腎臓病が原因かどうかだけでなく、他にどのような原因が考えらえるか検査を行い調べます。
また腎臓は尿の排泄を通して電解質や酸塩基平衡のバランスを保っています。電解質とはナトリウムやカリウムといったものですが、イオンやミネラルといった言い方をされることがあります。酸塩基平衡とは血液等の体液の酸性/アルカリ性のバランスを指します。これらの異常は自覚症状を伴わないことも多いのですが、放置しておくと意識障害や不整脈など重篤な症状を起こすことがありますので、血液検査等で異常が認められた際には受診していただいております。
外来受診について
基本的には、かかりつけの医師からのご紹介をもって診察しております。せっかくお越しいただいたにもかかわらず、休診日であったり、診察時間外であったりすると受診ができませんので、事前に電話予約をしていただくことをお願いしております。
慢性腎臓病も進行して末期腎不全という病状になると、血液透析を初めとする腎代替療法の準備が必要になります。そして、内服薬では体の水分が取り切れない、尿毒症で食事がとれないという状況が近づくと、実際に透析を開始することになります。当院では透析導入(透析を開始すること)をしておりませんので、その時にはご相談の上、適切な病院にご紹介することになります。
逆に病状が安定しており、頻回な受診を要さない場合は、かかりつけやご近所のクリニック等へご紹介させていただいております。
入院診療について
当院に入院中の方の腎臓内科的な合併症の診療(診察や検査や治療)を行っています。具体的には、薬剤や重篤な感染症による急性腎不全の管理や治療などです。腎代替療法が必要と判断された場合は、CHDF(持続的血液濾過透析)といわれる急性血液浄化療法を行っています。また、ある種の免疫学的異常、あるいは血液学的異常で発症する疾患に対して血漿交換とよばれる治療を行っています。
腎疾患・腎臓病に行うことのある検査としては、腎生検といわれる検査を行っています。専用の針で腎臓の組織を一部採取して顕微鏡で調べる検査(病理診断検査)で、毎月1~2件程度行っています。これは治療ではありませんが、疾患を診断したり、治療法を決定するうえで非常に重要な検査になります。当院にはリウマチ膠原病や血管炎の方が多く受診されますので、他の病院の腎臓内科よりも膠原病や血管炎の方の腎生検が多いという特徴があります(※1)。
※1. 2021年10月~2022年7月までの腎生検の件数
血管炎(7例)、ループス腎炎・全身性エリテマトーデス(3例)、腎硬化症(1例)
スタッフ紹介
腎臓内科部長 | 荻 原 秀 樹 |
日本内科学会 総合内科専門医 日本腎臓学会 腎臓専門医 日本透析医学会 透析専門医 日本リウマチ学会 リウマチ専門医 日本アレルギー学会 アレルギー専門医 |
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腎臓内科医師(非常勤) | 山 崎 拓 也 |
日本内科学会 認定内科医 日本腎臓学会 腎臓専門医 |