外科・消化器外科・乳腺外科
主な対象疾患
胆石
①症状
多くは食事のあとに、みぞおちから右季肋部、右背部の痛みが出ることが多い。発熱や、黄疸になる場合もあります。
②検査
採血、超音波、CT, MRCP、胃カメラなど
③治療法
無症状の胆石は治療の必要がない場合が多いですが、有症状胆石の多くは、再発をきたすと報告されているため、症状のある胆石は手術が必要です。手術は腹腔鏡手術で、小さな4か所の傷から行います。手術時間は2時間半から3時間の予定ですが、炎症が強い場合はさらに時間を必要とします。状況によっては開腹手術に移行する場合があります。
術中、術後にトラブルがなく順調であれば4泊5日入院が標準です。
肝臓癌
①症状
ほとんど無症状で、検診などの検査で発見されることが多い病気です。
②検査
採血、腹部超音波、CT, MRI(目的別に何度か検査します)、大腸カメラ、胃カメラ など
③治療法
原発性肝癌:手術治療、焼灼治療、化学療法、放射線治療などいくつかの治療法があり腫瘍の大きさ、個数、肝機能、全身状態から総合的に判断します。手術治療がもっとも病勢コントロールが良いとされています。切除可能な病変であれば、腹腔鏡下切除を選択することが多く、切除範囲が大きい肝切除は開腹で施行する場合があります。
転移性肝癌:ほかの臓器の癌が肝臓に転移した症例ですが、腹腔鏡下部分切除を行うことが多いです。
肝切除術は大掛かりな手術であり、手術時間は6時間~8時間程度を要します。
術後の体調により入院期間は変動します。
膵臓癌
①症状
初期は症状が出にくいため比較的進行した状態で発見される病気です。黄疸や食欲不振、体重減少、発熱、みぞおちの痛みや違和感、糖尿病の悪化で発見されることがあります。
②検査
採血、腹部超音波、CT, MRI ERCP(内視鏡的逆行性膵管胆管造影検査:入院で行います)胃カメラ、大腸カメラ 超音波内視鏡検査 など
③治療法
腫瘍の部位で手術方法が分かれます
・手術治療: 膵頭部膵癌 膵頭十二指腸切除術 リンパ節郭清
・膵臓の頭部、十二指腸、胆管、胆嚢、リンパ節を摘出し、再び食事ができるよう消化管の再建(新しい食事の道を作ること)を行います。手術時間は8時間~10時間を要します。消化器外科の中でも大きな手術であり、術後に残った膵臓から膵液が漏れる膵液漏というトラブルが起きる危険があり、周術期の死亡率は5%程度という報告があります。入院期間は約1か月ですが病状によって変わります。
・膵体尾部癌 膵体尾部切除、脾臓摘出、リンパ節摘出
・膵臓の体部、尾部を切除し、脾臓も摘出する手術で、手術時間は約6時間くらいです。術後に膵液漏が起きる危険は約10~20%という報告があります。入院期間は約3週間程度ですが、病状によって変動します。
・化学療法 手術前に化学療法を先行する症例や、術後再発の症例、手術治療が困難と考えられる症例に対して化学療法を行います。
・遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌
胆汁の流れる出口である下部胆管から十二指腸乳頭部に発生する腫瘍で、多くの症例は黄疸で発見されますが、体重減少やみぞおちの違和感で発見される場合や無症状のこともあります。
検査としてはCT,MRI、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(入院で行います)、超音波内視鏡検査 など
④治療法
手術治療:胆管、胆嚢、十二指腸、膵頭部、リンパ節郭清を行う幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行します。手術時間は約8時間~10時間の予定です。
抗がん剤治療:術後再発例や手術が困難と考えられる症例に対して抗がん剤治療を施行します。
胆嚢癌
①症状
黄疸や上腹部の痛みで発見される場合や、無症状で偶然検査によって発見される症例もあります。胆石症や胆嚢ポリープの診断で手術を行い、病理検査によって診断される症例もあります。
②検査
CT,MRI,超音波内視鏡検査、腹部超音波検査 など
③治療法
術前検査で早期がんが疑われる場合は、開腹胆嚢摘出術を行い、病気の進行が懸念される場合は胆嚢摘出とともに肝臓部分切除術とリンパ節郭清を行います。