リウマチ科

外来・入院を問わず、内科医と整形外科医が密に連携して診療しております。
リウマチ疾患の高度専門医療施設として、最先端の治療(生物学的製剤やJAK阻害剤などの使用や新薬治験の実施)から臨床研究まで、国立病院機構における中心的な役割を担っております。

受診される方

リウマチ科では、関節リウマチ・膠原病を対象として診療しておりますが、特に、関節リウマチの方は2000人以上通院されております。
当科は内科・整形外科・リハビリテーション科が密に連携しているのが特徴で、生物学的製剤、JAK阻害薬の使用や新薬治験の実施などを通して最先端の治療も行っております。
最近では、関節リウマチ・膠原病の領域でも早期診断・早期治療が非常に重要視されております。
関節の痛み・腫れ・こわばり、原因不明の熱などでお悩みの方は是非ともご相談下さい。初診および予約以外の再診受付時間はいずれも月~金の8時30分~11時00分です。

【当科を初診される方へのお願い】

関節リウマチ・膠原病治療では、これまでの経過、治療歴(薬歴、手術歴)が重要な情報となります。
当科を初診される際には、原則として他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をご持参下さい。
紹介状をお持ちの場合には、時間をかけてじっくり診察できるよう、リウマチ・人工関節センター外来初診枠で診察させていただきます(詳細はリウマチ・人工関節センター外来初診手順の項をご参照下さい)。
また、紹介状のない場合でも診察させていただきますが、通常のリウマチ科診察枠での対応となりますので、かなりお待たせしてしまう可能性があることをご了承下さい(ご自身で経過、治療歴などをまとめたものを持参していただけると参考になりますので、可能な限りご用意下さい)。

対象となる疾患

関節リウマチ/全身性エリテマトーデス/全身性強皮症/多発性筋炎/皮膚筋炎/混合性結合組織病/シェーグレン症候群/ベーチェット病/結節性多発動脈炎/顕微鏡的多発血管炎/好酸球性多発血管炎性肉芽腫症/結節性多発動脈炎/大動脈炎症候群(高安病)/巨細胞性動脈炎/その他血管炎/リウマチ性多発筋痛症/ RS3PE症候群/再発性多発軟骨炎/成人発症スチル病/抗リン脂質抗体症候群/IgG4関連疾患/強直性脊椎炎/反応性関節炎/乾癬性関節炎/炎症性腸疾患に伴う関節炎/掌蹠膿疱性骨関節症/結晶誘発性関節炎

特色

1.当院リウマチ科はわが国のリウマチ性疾患診療の拠点となる高度専門医療施設です

当科は診療のみならず、臨床研究、基礎研究にも力を注いでおり、リウマチ性疾患診療および研究における国の中心施設として位置付けられております。
約15,000人規模(2022年度は17,000例以上)の日本最大の関節リウマチデータベース(NinJa)の取りまとめも行っており、国内外に多くの情報を発信し続けております(詳細は臨床研究センターリウマチ性疾患研究部の項をご参照下さい)。

2.内科医・整形外科医が一緒に診療しております

関節リウマチ診療において、内科・整形外科・リハビリテーション科の連携が非常に重要ですが、当科は40年以上前から内科医・整形外科医が一緒にリウマチ診療を行うというスタイルを全国に先駆けて実践してきた伝統と歴史があり、外来でも隣り合った診察室、病棟は内科・整形外科が一緒の病棟で診療にあたっております。またリウマチ教育入院および、リハビリテーション科とも連携しリハビリ入院も行っておりますのでご相談下さい。

3.他科・他施設との連携も図っております

膠原病は皮膚や内臓合併症を有することが多いため、院内各科と連携して対応しておりますが、当院には腎臓内科がないため、腎病変合併時は虎の門病院分院をはじめ、周辺施設との連携を図って対応しております。

4.紹介患者さまのための診察枠を別途設置しております

リウマチ・膠原病の診察は全身の観察が必要であるため、他疾患よりも診察に時間がかかることが多く、特に初診時には通常の外来枠内で十分な時間をとって診察することは難しいのが現状です。
そこで、初診時にも時間をかけてしっかりと診察できるよう、通常の外来とは別に、他院からの紹介状をお持ちの患者さまを対象としてリウマチ・人工関節センター外来を設置いたしました。
(詳細はリウマチ・人工関節センター外来初診手順の項をご参照下さい)

リウマチ科

●研修、見学を希望される方へ
 国立病院機構相模原病院リウマチ科(内科)では、多くのリウマチ性疾患の外来・入院診療を行っており、年間のリウマチ性疾患の外来患者数は延べ19000人、病棟入院患者数は約600人を超えます。特に関節リウマチの診療に力を入れており、各種生物学的製剤、JAK阻害剤の使用はもちろん新薬治験も実施しております。
これから研修し専門医を取る方はもちろん、既に専門医をお持ちの方でさらに臨床の研鑽を積みたい方、臨床研究に興味のある方、医学教育に興味がある方など、年次や出身大学(医局)を問わず医師を随時募集しております。
 当院は免疫異常(リウマチ・アレルギー)の中心施設として高度専門医療施設(準ナショナルセンター)に指定されており、日本リウマチ学会認定教育施設、日本内科学会認定教育病院となっております。整形外科と協力して「リウマチ人工関節センター」として紹介患者さまを積極的に受け入れ、手術適応のある患者さま等については整形外科と共同で診療しております。整形外科・リハビリテーション科の協力のもと患者さま向け講演会も年1回開催しています。

●研修プログラム
当院では充実した研修を送っていただくため、以下のような体制で診療にあたっています。

①チーム制での入院診療、カンファレンス
当科はチーム制で診療に当たっています。病棟では毎朝のチーム回診、夕チームカンファレンスに加えて、毎週月曜日に全体カンファレンスを行っています。病棟はチーム制、オンコール制のため、安心して休暇を取ることが可能です。

②外来診療
外来に関しては年次にかかわらず専門外来を担当し、研修開始1年はマンツーマンで指導医が全症例外来レビューを行っています。

③筋骨格系超音波外来
専用のブースを設けて筋骨格系超音波外来を行っております。日本リウマチ学会登録ソノグラファー指導の下、関節にとどまらず、筋骨格系の網羅的な観察、インターベンションを習得いただくことが可能です。登録ソノグラファー取得に十分な患者様がご来院されますので、同資格の取得も可能です。年に数回、当院主催で外部講師をお招きした講習会も実施しています。

④学会発表
基本的に在籍医師全員が毎年学会発表を積極的に行っています。臨床研究センターリウマチ性疾患研究部 松井部長指導の下、症例報告だけでなく、国内最大の関節リウマチ患者データベース「NinJa」を用いた疫学研究、併設された臨床研究センターでの基礎研究など、幅広い発表を行っております。

学術論文、書籍執筆なども盛んに行っています。(業績は別項をご参照ください。)
短期研修、初期研修中の学術活動指導にも力を入れており、勉強に来てくださった先生の国内外での受賞歴も複数ございます。ぜひ研究の仲間にも加わってください。(受賞歴は別項をご参照ください。)

⑤研究面における当科の特徴 ~臨床研究センターリウマチ性疾患研究部~
当院では臨床研究センターにリウマチ性疾患研究部が設置されており、

内科系リウマチ研究室では、感染マーカー・好中球上CD64分子の測定を随時施行し、即日結果が出ることにより感染症の鑑別・リウマチ性疾患の治療精度向上に貢献しています。

外科系リウマチ研究室では整形外科と関節炎の共同研究を行っています。関節炎の愁訴は痛みであり、その痛みの解明をヒトの検体を用いて遺伝子・タンパクレベルで解析することで直接治療に結び付く研究を行っています。

⑥学位取得
他施設の大学院や研究室と連携し、当院で勤務の傍ら研究も行い、学位を取得することも可能です。
当院で臨床経験を積まれた先生方のその後の進路は開業から大学教授まで様々で、皆さん各方面で活躍されております。ご興味のある方はお気軽にご連絡下さい。また、見学も大歓迎です。一緒に診療・研究ができることをスタッフ一同心待ちにしております。

<お問い合わせ先>
リウマチ科部長・津野 tsuno.hirotaka.yp@mail.hosp.go.jp
リウマチ科医長・野木 nogi.shinichi.bn@mail.hosp.go.jp

NEWS!

2024年10月 初期研修医小林樹久先生が当科として国⽴病院総合医学会にてベスト口演賞を受賞しました。
2024年10月 伊藤先生(専攻医)の『Symptomatic pachydermodactylyの論文』がMod Rheumatol Case Repに掲載されました。
2024年08月 松井先生の『NinJaのデータを解析した論文』がMod Rheumatol.に掲載されました。
2024年04月 松井先生と矢野先生が『ピンチを乗り切る関節リウマチ診療』に寄稿しました。
2024年04月 辻有恒先生が1年間の短期研修のため当科の新しい仲間に加わりました。
2024年01月 野木先生の『リウマチ性多発筋痛症のHLAを解析した論文』がRMD Openに掲載されました。
2023年10月 津野先生の『変形性膝関節症の病態解明の1つとなるうる論文』がSci Rep.に掲載されました。
2023年03月 津野先生が『変形性膝関節症および肩関節周囲炎の疼痛改善剤』特許出願いたしました。
2022年11月 野木先生の『高安動脈炎の論文』がAnnals of Internal Medicine: Clinical Casesに掲載されました。

過去5年の業績

特許
2023年

  • 発明者:福井尚志、津野宏隆、田中信帆『変形性膝関節症および肩関節周囲炎の疼痛改善剤』

書籍執筆
2025年

  • 松井利浩『日本リウマチ学会若年性特発性関節炎診療ガイドライン2024-2025年版(編集委員)』
  • 矢野裕介『クエスチョン・バンク医師国家試験問題解説』

2024年
  • 矢野裕介 ピンチを乗り切る関節リウマチ診療 2020;:70-80.
  • 松井利浩 ピンチを乗り切る関節リウマチ診療 2020;:43-50.
  • 松井利浩『膠原病治療の進歩とこれからへの期待』アレルギーの臨床
  • 松井利浩『関節リウマチ治療の最前線』アレルギーの臨床

2023年
  • 松井利浩『多職種によるライフステージに応じた関節リウマチ患者支援』Pharma Medica
  • 松井利浩『関節リウマチにおける分子標的薬の使い方』アレルギーの臨床
  • 松井利浩『NinJaで考える高齢発症RA患者に対する治療の現状と課題』リウマチ科

2022年
  • 津野宏隆『好酸球性多発血管炎性肉芽腫症はさまざまな病像を呈すると聞いたのですが,この病気を見逃さないためにどのような症候に気をつけたらよいでしょうか?』内科
  • 津野宏隆『シクロホスファミド』リウマチ科
  • 松井利浩『関節リウマチにおける最新情報 ~Difficult-to-Treat(D2T)RAについて~』アレルギーの臨床
  • 松井利浩『関節リウマチの診断と治療』アレルギー

2021年
  • 松井利浩『関節リウマチ合併症の治療』今日の整形外科治療指針(第8版)
  • 松井利浩『日本におけるRAレジストリー・コホート研究の現在』リウマチ科
  • 松井利浩『リウマチ領域におけるフェーズ2とフェーズ3ランダム化コントロール試験の有効性』リウマチ科
  • 松井利浩『関節リウマチ治療におけるMTXの使用法』ペインクリニック

欧文原著
  • Ito A, Tsuno H, Yano Y, Nogi S, Tabira Y, Ohmatsu H, Honda S, Horita A, Saito I, Matsui T. Symptomatic Pachydermodactyly: A Case Report. Mod Rheumatol Case Rep. 2024 Oct 29: rxae064.
  • Matsui T, Yoshida T, Nishino T, Yoshizawa S, Sawada T, Tohma S. Trends in treatment for patients with late-onset rheumatoid arthritis in Japan: Data from the NinJa study. Mod Rheumatol. 2024 Aug 20; 34(5): 881-891.
  • Nogi S, Oka S, Higuchi T, Furukawa H, Shimada K, Azuma T, Sugiyama T, Hirano F, Okamoto A, Fujimori M, Horai Y, Ihata A, Hashimoto A, Komiya A, Matsui T, Fukui N, Katayama M, Migita K, Tohma S. Human leucocyte antigens and Japanese patients with polymyalgia rheumatica: the protective effect of DRB1*09:01. RMD Open. 2024 Jan 22; 10(1): e003897.

リウマチ性多発筋痛症(PMR)のHLA:DRB1*04:05, shared epitope DQB1*04:01はPMR発症に関与、DRB1 *09:01はPMR発症に抑制的に関与していることを示しました。


  • Komiya Y, Sugihara T, Hirano F, Matsumoto T, Kamiya M, Sasaki H, Hosoya T, Kimura N, Ishizaki T, Mori M, Tohma S, Yasuda S, Matsui T. Factors associated with impaired physical function in elderly rheumatoid arthritis patients who had achieved low disease activity. Mod Rheumatol. 2023 Dec 22; 34(1): 60-67.
  • Tsuno H, Tanaka N, Naito M, Ohashi S, Iwasawa M, Kadoguchi T, Mitomi H, Matsui T, Furukawa H, Fukui N. Analysis of proteins released from osteoarthritic cartilage by compressive loading. Sci Rep. 2023 Oct 25; 13(1): 18292.
  • Nishino T, Hashimoto A, Tohma S, Matsui T. Comprehensive evaluation of the influence of sex differences on composite disease activity indices for rheumatoid arthritis: results from a nationwide observational cohort study. BMC Rheumatol. 2023 Mar 21; 7(1): 4.
  • Nogi S, Yano Y, Kodama K, Tsuno H, Ogihara H, Kawakami M, Ohmori T, Sato S, Matsui T. Reversible improvement of arterial stenosis and wall thickness in Takayasu Arteritis through treatment with tocilizumab. Annals of Internal Medicine: Clinical Cases. 2022 Nov.

*高安動脈炎のトシリズマブによる早期治療により血管狭窄が正常化しうることを定量的に示しました。

  • Nogi S, Hashimoto A, Matsui T. Marked Effectiveness of Intravenous Immunoglobulin Therapy Against Intractable Lower Leg Ulcers in Two Patients With Rheumatoid Vasculitis. J. Clin. Rheumatol. 2021 Aug 1;27(5):e188-e189
  • Omori I, Kawanabe R, Hashimoto Y, Mitsui A, Kodama K, Nogi S, Tsuno H, Horita A, Saito I, Ohmatsu H. Cutaneous methotrexate-related T-cell lymphoproliferative disorder with CD4, CD30, CD56, EBV-positive tumor cell infiltration: a case illustration and a brief review. Am J Blood Res. 2021 Apr 15;11(2):163-167. eCollection 2021.
  • Tanaka N, Tsuno H, Ohashi S, Iwasawa M, Furukawa H, Kato T, Fukui N.The attenuation of insulin-like growth factor signaling may be responsible for relative reduction in matrix synthesis in degenerated areas of osteoarthritic cartilage. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Feb 27;22(1):231. doi: 10.1186/s12891-021-04096-w.
  • Hashimoto A, Kawasaki Y, Tominaga A, Kakutani T, Kodama K, Nogi S, Tsuno H, Ogihara H, Nunokawa T, Ikenaka T, Watai K, Saito I, Matsui T. Squamous Cell Lung Cancer: Methotrexate Withdrawal Induced Spontaneous Regression of Liver Metastases. J Clin Rheumatol. 2020 Aug;26(5):e137.
  • Nogi S, Hashimoto A, Tohma S,Matsui T. Higher disease activity and lower renal function in patients with rheumatoid arthritis are associated with loss of muscle mass: results from a long-term follow‐up study. JCSM Clinical Reports, 2020(5)63-68.

*サルコペニアの疾患概念が認知される以前(2010年)より長期の筋肉量変化に注目し、関節リウマチの活動性が高い程、腎機能が低い程、7年後の筋肉量が減少することを報告しました。

短期研修、初期研修中の受賞歴
  • 小林樹久先生 ベスト⼝演賞:第78回国⽴病院総合医学会. 2024.
  • 吉田智哉先生 JCR 2023 ICW Excellent Abstract Award 受賞:第67回日本リウマチ学会総会・学術集会. 2022.

スタッフ紹介

内科リウマチ医

リウマチ科部長 津野 宏隆 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
日本内科学会 認定内科医
日本内科学会 総合内科専門医
リウマチ科医長
副内科系診療部長
教育研修副部長
野木 真一 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本内科学会 認定内科医
日本内科学会 総合内科専門医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
臨床研究センター
リウマチ性疾患研究部長
松井 利浩 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
日本臨床薬理学会 専門医
日本内科学会 認定内科医
リウマチ科医師 矢野 裕介 日本リウマチ学会 リウマチ専門医
日本内科学会 内科専門医
日本リウマチ学会 日本リウマチ学会登録ソノグラファー
産業医科大学認定 産業医
リウマチ科医師 鈴木 智博
リウマチ科医師 亀村 太朗
リウマチ科医師 伊藤 綾香
リウマチ科医師 長谷 陸雄
リウマチ科医師 辻 有恒
内科部長
リハビリテーション科医長
山中 隆夫 日本内科学会 総合内科専門医
日本睡眠学会 総合専門医・指導医・専門心理士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医・指導医
日本製薬医学会 製薬医学認定医

リウマチ整形外科医

整形外科部長
輸血部長
外科系臨床研究室長
岩澤 三康
(人工関節全般)
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
リハビリテーション科部長
整形外科医長
医療情報部長
増田 公男
(人工関節全般)
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
日本リハビリテーション医学会 認定臨床医
義肢装具等適合判定医
日本心臓リハビリテーション学会 指導士
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 初級呼吸ケア指導士
日本医師会 認定健康スポーツ医
日本医療情報学会 医療情報技師
日本医師会 認定産業医