禁忌と回避(医療関係者の皆様へ):誘発試験の方法(専門医向け) [4/5]

その他の負荷試験方法

内服負荷と吸入負荷の両者の長所をあわせ持った方法として、リジン−アスピリン静注負荷がある。安全かつ簡便で特異性も高く、半日で終了するなど非常に優れた方法であるが、静注用リジン−アスピリンが本邦では現在入手不可能であり、施行できない。他の注射NSAIDを用いた報告もほとんどなく、また入手しやすい製剤もないため静注負荷は行いがたい。他に鼻腔投与法もあるが、陽性率は20〜70%にとどまり、診断法として適さないが、鼻腔洗浄液を用いた研究目的には用いられている。各種負荷試験の特徴を表4に示す。

アスピリン過敏皮疹に対する負荷試験

アスピリン過敏症状には、気道型(喘息、鼻症状)と皮疹型(蕁麻疹、血管浮腫)があることが知られており、両者が合併することはまれである。今まで述べた負荷試験の方法は喘息を診断するための方法であるが、皮疹型過敏もこれに準じて検査する。当然負荷は内服法に限られる。皮疹は、負荷後数時間から半日以上して出現することがあり、負荷間隔を数時間以上あけりことが望ましい。NSAIDアレルギーも同様の方法でよい。皮疹型は、誘発症状に緊急性はないことから、外来レベルでも施行可能である。

おわりに

NSAID過敏性は、in vitroの検査法が無い現状では、既往歴の的確な確認と負荷試験により診断するしかない。NSAID負荷試験は前述の方法さえ守れば安全性が極めて高い。AIA潜在例に誤ってNSAIDを投与しないためにも、非AIAに不必要にNSAIDを避けることを強要しないためにも、積極的に負荷試験を行うことが望ましい。近い将来には、in vitroの診断法が開発されることを期待したい