脊椎内視鏡手術について
脊椎内視鏡手術について
脊椎疾患は、脊椎の中を通っている神経が圧迫されて痛みや痺れなどの症状が出現します。
脊椎手術では骨や靭帯を切除することで神経の圧迫を解除することを行います。
今までは視野の確保のために病変と直接関係のない組織も切除や剥離をしていたため、傷口が10cm前後となったり術後の痛みも強かったのですが、近年では医療器械の発達に伴い脊椎の分野でも内視鏡手術が行われるようになりました。
脊椎内視鏡手術は、病変がある部位にのみ、手術器具とカメラを挿入して手術を行うため、正常な筋肉や骨を傷めることが少なく、手術の傷が小さく(3mm~18mm)、出血もほぼしないため、身体への負担が非常に小さく、従来の手術と同様の効果を得られることができます。患者さんとっては非常にメリットの多い手術方法で、現在日本全国で年間2万件ほど行われております。しかし、技術的に難しいこともあり、内視鏡手術を行っていない病院や、適応を限定している医療機関が多いです。当院では除圧術は基本的に全症例を内視鏡手術でおこなっており、全脊椎手術の87%を内視鏡手術で対応しており、全国的に見ても非常に高い水準を誇ります。
特に当院では従来手術はもちろん、MEDとUBEの2つの内視鏡手術の術式を行うことができる数少ない病院です。高い技術水準でそれぞれの症例に合わせた適切で最も負担の少ない術式が選択できるような体制をととのえております。
当院で行う内視鏡手術はすべて保険適応になります。
脊椎内視鏡手術の種類
現在、日本国内では「MED」、「FESS」、「UBE」と大きく3種類の脊椎内視鏡手術の方法があります。
当院では、オーソドックスで日本で最も多く行われている「MED」と、最先端で最も傷の小さい内視鏡手術である「UBE」の2種類の内視鏡手術を行うことができます。
①MED(Micro Endoscopic Disectomy)
MEDは1996年より行われており、現在日本国内で最も多く行われている脊椎内視鏡手術です。
18mmの皮膚切開を行い、16mmの円筒状の金属を皮膚に挿入し、その金属にカメラを設置して手術を行います。
大きく切開して行う従来の手術と同様の手技を、内視鏡で覗きながら手術をするような術式なので、術者が両手を使い手術をすることができ、安全性が非常に高く、どの病態にも対応できることが特徴です。当院では固定術についてもこの内視鏡を使用して行っており、ほぼすべての手術を行うことができます。汎用性が非常に高く術中にトラブルが起きてもこの術式で最後まで対応することができます。
②UBE(Unilateral Biportal Endoscopy)
UBEは、最先端の脊椎内視鏡手術で、現在日本で行うことができる最も傷の小さい脊椎内視鏡手術の術式です。実施医基準と実施施設基準があるため行える施設や医師が限られています。
日本で一般的な内視鏡手術であるMEDが傷が18mmなのと比較し、傷が3~7mmと非常に小さく、カメラを直接皮膚に挿入し、水で還流しながら手術を行うことが特徴です。カメラの大きさと手術機材を直接挿入するため2つの傷が必要になりますが、細い手術機材が入る皮膚切開のみで手術を行うことができるため、さらに身体への負担が小さい術式になります。
特徴
手術翌日には歩くことができ、通常は4泊-7泊で退院が可能です。
手術は全身麻酔で行います。痛みの原因となっている部位に到達する必要最小限の皮膚切開を行い、4Kのモニターを見ながら手術を行います。神経を圧迫している靭帯や椎間板を切除し、圧迫されている神経の除圧を行います。
正常な組織を温存することができるため術後の痛みが少ないのが特徴です。
仕事などで長期入院ができない方や、術後の痛みに対して恐怖心がある方などには非常にメリットが多い術式です。
適応となる症例
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアを代表とする腰痛や下肢痛(坐骨神経痛)